何故印刷入りのクラフト重袋は最低ロットが大きくなる?
お客様の中には、印刷入りのクラフト重袋を製造するのに何故最低ロットが数千枚にもなってしまうのかを
疑問に思われる方もおられるかと思います。
このコラムでは、クラフト重袋の印刷に使われるフレキソ印刷の流れについてご説明することで、
この疑問にお答えし、当社で行っている印刷についての理解を深めていただくことができれば幸いです。
フレキソ印刷を行う際に設定されている最低ロットが大きくなっている最大の理由は、
印刷する数量に関わらずかかる固定のコストが大きいため、小ロット製造した場合の袋の単価が高額になり、
お客様が買いづらいことだと考えます。
具体的には、小さいワンポイントであっても数千円、全面の大きなものだと
10万円超かかることもある印刷版の作成費や大型印刷機を稼働させるための長い調整時間にかかる工賃などです。
また、製造メーカー側では、調整に長時間かかることから小ロットの製造を行うと
機械の稼働率が大きく下がってしまうため取り扱いしづらいという理由があります。
このため、クラフト重袋を製造するメーカーの多くが、
仕入れるクラフト原紙一本の巻取単位6,000mやその半分を最小ロットに設定しています。
(当社では、内容によって1000枚からの印刷に対応しております)
より、具体的なイメージを持っていただくために、当社で行っているフレキソ印刷について詳しく説明してまいります。
当社で行っているフレキソ印刷は、版下の作成 → 印刷版の作成 → キャンパスに版を設置 → 印刷機による印刷
という工程を踏んでおります。
この流れについて、実際の画像などを使って順番に説明させてもらいたいと思います。
①まずは、お客様から頂いた袋のデザイン、表記内容等を元に版下を作成し、
袋のどの位置にどのような印刷を行うかについて確認を行います。
・最初のデータについては、お客様から完全データを支給していただく場合や印刷物をいただいて
当社でデータ化をさせてもらう場合がございます。
・印刷の色については、当社で対応可能なKIカラー(約20色)の中からご希望のものを選んでいただきます。
(ある程度のロットが必要でかつ長期継続利用を予定されている袋については、独自のコーポレートカラーといった
特別色をインク会社様に依頼して作っていただいていることもございます)
・基本的には、データでのご確認をしていただきますが、ご希望によってはインクジェットプリンタを使って
原寸の印刷を出力し、ご確認いただくことも可能です。
②確認の終わった版下を元に、版制作会社で樹脂製の印刷版を作成してもらいます。
こちらが樹脂製の印刷版です。
離れた位置に印刷がある場合には、違うパーツに分けて作成してもらいます。
③当社では、印刷版を布のキャンパスに貼り付けたものを印刷機の版胴に巻き付けております。
こちらが、印刷版を貼り付けたキャンパスになります。
・印刷の色ごとにキャンパスを準備し、版下作成時に決まった位置の通りに印刷版を貼り付けております。
④出来上がったキャンパスを印刷機に設置された版胴に巻き付けます。
こちらがキャンパスが版胴に巻き付けられた状態になります。
・この版胴が1周する距離が袋の長さになります。版胴の円周によって長さが決まるため、
お客様のご希望に合わせられるよう、様々な版胴や版胴に取り付けて
円周を調整するための補足胴、ゴムシートを用意しております。
⑤印刷色ごとにキャンパスを版胴に巻き付けた後に、本稼働前の調整作業を行います。
・印圧(樹脂版を押し当てる強さ)、インキの塗布量や、印刷の位置ズレを補正していく作業を行います。
・調整の作業は、色の数が多かったり、細かい柄、小さい文字があったりすると難易度が上がり、
調整により長い時間がかかります。
⑥調整が終わると、徐々に印刷機の回転を上げ、本稼働をさせます。
必要なメーター数を刷り終わるタイミングでスピードを緩めていき、停止後に印刷が完了します。