壁材の湿気対策に防湿ポリエチレン内袋を採用したクラフト紙袋
今回のコラムでは、多層ポリエチレン袋を内袋に使用してお客様の課題を解決した事例をご紹介します。ご紹介するお客様は、壁材を製造する会社です。独自開発商品である消臭や調湿効果のある特殊な粉末壁材をポリエチレン内袋入りのクラフト紙袋に入れて保管をしておりましたが、在庫期間中(数か月から半年程度)に製品が硬化してしまうという課題を抱えておられました。
製品硬化の原因は、長期保管により使用していたポリエチレン内袋が水分を透過してしまうことでした。最上級の防湿効果を発揮するPETアルミ袋などのラミネート袋を内袋として使用すればこの課題は解決しますが、袋単価が高額になってしまうため採用が難しい状況でした。
課題を解決するために最初に検討していただいたのが「高密度ポリエチレン(通称:ハイデン)」の袋です。HD-PEと表記されるもので、現状の低密度ポリエチレンLLD-PE(通称:リニアローデン)よりも湿気を透過しにくく、強度が高い性能を持っています。こちらの素材に変更して頂ければ問題が解決すると考えHD-PE袋のサンプルを持参し、お試しいただいたところ、商品を入れるときにHD-PEが縦に裂けてしまいました。ゴワつきがあり、縦裂けに弱いというHD-PEの性質が露呈してしまった結果です。
そこで次に検討いただいたのが、HD-PEをLLD-PEで挟んで1枚のフィルムにして製袋した多層ポリエチレン袋です。「LLD/HD/LLD」の3層構造になりますが、見た目はLLD-PEとほぼ変わらず無色透明です。HD-PE、LLD-PEそれぞれの特性を兼ね備えるため、LLD-PEよりも防湿効果が高く、強度も上がる傾向です。そして、縦裂けもしにくくなります。
この多層ポリエチレン袋を内袋に使用していただくことで、包材コストを許容の範囲内に抑えつつ、製品が湿気の影響で硬化してしまうという課題を解決することができました。お使いいただき半年以上が経過していますが、内容物の硬化が見られず、ご満足いただいております。
今回の事例のように性質の異なるポリエチレンの多層袋や、複数の素材を組み合わせたラミネート袋を内袋として使用する事で、製品の包材として必要な機能を付与することが可能となります。当社では、製品包装に必要な品質やコストを勘案してお客様に合った袋のご提案をさせていただきます。
※このデータはPE袋(0.09mm厚)の場合において、LLD/HDの2層構造のフィルムと単層のLLD、HDとの比較です。
上記は物性値の一例であり、保証値ではありません。