クラフト重袋の封かんに使われる袋口縫ミシン
クラフト重袋の封かんには、ミシン縫いやヒートシール、オーバーテープ留め、クラフトバンド結び、両面テープや粘着剤での接着など様々な方法がとられています。本コラムでは、封かん方法の中でも手軽さやコスト面から一番広く採用されているミシン縫いに使用される袋口縫ミシンについて説明をさせていただきます。
クラフト重袋を封かんするミシン機は、家庭で使われるような縫製用ミシンよりも強力なモーターを搭載しており、10枚重なったクラフト紙に針を刺して高速で縫うことができるパワーを持っています。
ミシン機には、大きく分けてポータブルタイプと据え置きタイプがあります。
ポータブルタイプはその名の通り、持ち運びができるミシン機です。電源に接続する必要がありますが、工場内の複数箇所で同じミシン機を簡単に移動させて使用することが可能です。ミシン機についているハンドルを手で持って封かん作業を行います。
ポータブルタイプミシン機を使用した作業イメージは、こちらの動画をご参照ください。
当社のお客様でよく利用されているミシン機を2つご紹介します。
● NP-3Ⅱ(二重環縫い方式)
● NP-7B(単環縫い方式)
2つのミシン機には、2本の糸を使って縫う(二重環縫い)か、1本の糸を使って縫う(単環縫い)かという違いがあり、縫い方によって縫い目の強度に差が出ます。袋の中身の形状にもよりますが、単環縫いは耐荷重15kg程度、二重環縫いは30kg程度と言われています。また、ミシン目が飛んだ状態で縫ってしまった場合、単環縫いの場合はそこからほつれが発生しやすいので注意が必要です。
一方で、単環縫い方式のミシン機の方が、糸を載せた時の重量が軽いため作業しやすいという利点がございます。
続いて、据え置き型のミシン機をご紹介します。
据え置きタイプは、柱に固定されたミシン機とレール上を前後に動く台車からなる逆T字方の装置になります。製品充填の終わった紙袋を台車の上に置き、袋口をミシン針近くまで差し込み、ペダルを踏むとミシンが始動して袋が縫われていきます。少し傾斜しているレールの上を台車が動いていくので、袋を軽く支えるだけでミシン機を持ったり動かしたりする必要がありません。
● ニューロング製
● コーワ製
製品充填後の袋口高さに合わせてミシン機の位置をハンドルで上下に調整して固定させることができるためミシンがまっすぐに掛けやすいこと、また、ポータブルタイプのミシン機に比べて作業性が高いため、生産量が多い場合の封かん作業はこちらが推奨されます。(ポータブルタイプが1時間当たり150~200袋、据え置き型が200~300袋の封かんができる想定となっております。)
ただし、添え置き型のレールは1.5m程あるため、作業スペースが限られている場合は、設置できないことがございます。(キャスターが付いているため、比較的簡単に工場内を移動させることが可能です)
こちらのミシン機はクレープ装置が付いています。50㎜幅程度のクレープ紙(ちりめん状にしわを付けたクラフト紙)は、紙袋のミシン縫い部分を被覆する材料として使用されています。クレープ紙を縫い付けることで、ミシン糸のみで縫い付けるよりも、袋口の強度を高める効果があります。また、ミシン目から粉漏れを多少防ぐ効果もあるため、細かい粉状製品を充填する場合は、クレープ装置付きのミシン機が推奨されます。
簡易的な、クレープ装置が付いていないものもございます。
クラフト重袋の袋口縫いに使われるミシン機の種類や主な特徴についてご紹介させていただきましたが、この他にもメーカーが採用している利用者に合わせた機能が色々とございます。当社でも袋の製造時にミシン機を使用していること、また、袋をご利用いただいているお客様から封かん設備のご相談を受けることもあり、袋口縫いミシン機の取り扱いをさせてもらっています。ミシン機に関わる相談がございましたら気軽にお問合せください。