産業用紙袋のミシン糸の特徴と種類
本コラムでは、クラフト重袋の中でも古くからあり、今でも広く使われている片ミシン袋を製造する際に使用されるミシン糸についてご紹介させていただきます。
20kgを超える重量物の運搬に使われるクラフト重袋は、使用される紙の強度もさることながら、袋底や口部の強度も重要になります。片ミシン袋は、袋底にクレープ紙を縫い付けて製造されますが、縫うのに使用されるミシン糸は、家庭の裁縫等で利用される糸よりも太いものが使われます。
製袋用ミシン糸と呼ばれることもある糸の太さは「20/6」という規格が多く使用されています。これは、20番手の太さの糸を6本撚って作られた糸となります。裁縫で一番よくつかわれるのが60番手の糸ですが、20番手の糸はその3倍の太さになります(番手が小さいほど太い)。これを6本撚っている糸になるので、一般的な糸に比べて強度が高いことが想像できます。
次に、糸に使われる繊維素材ですが、ビニロン、ポリエステル、混紡糸といったものがあります。
● ビニロン糸
クラレ社が70年以上前に開発したビニロン繊維を使用した糸です。強度が高い、摩擦抵抗が少ない、耐薬品性が高い、保有水分率が高めで静電気が発生しにくいといった理由から製袋用としては一番多く使われてきた糸です。
● ポリエステル糸
ポリエステルを綿状に加工して紡績した糸です。引張強度や摩擦耐性は十分に高く、ビニロンに比べて安価であることから広く利用されています。保有水分量が少なく、摩擦による静電気の発生が多いのが欠点です。
● 混紡糸
ポリエステルと綿の混紡糸になります。ポリエステル糸の強度を持ちながら、含有水分量が高い綿糸を混紡することで、静電気の発生が抑えられています。
簡単に説明すると、縫う時に扱いやすい(糸切れやほつれなどが起こりにくい)が、価格が高いのがビニロン糸。価格が安いが、扱いやすさが劣るのがポリエステル糸。中間が混紡糸ということになります。
最後に色糸についてご紹介いたします。製袋用ミシン糸には、色のついた糸を使用することがあります。特に赤糸を使用することが多いのですが、その理由は、製品の充填された袋を開封する際の利便性にあります。
ミシン袋は、下の写真のように通常、二重環縫いという方法で糸がチェーン状に縫われていますが、袋を開封する際に、下糸を縫い終わりの方から縫い始めの方向に引っ張る事で綺麗に解けます。同じ白糸を使用していると上糸と下糸の見分けがつきにくいですが、下糸を赤色にすることで見分けがつき、利用者が袋を開けやすいというメリットがあるのです。
当社では、製袋用ミシン糸を自社で使用するだけでなく、販売も行っております。ミシン糸に関する悩み事などございましたら、気軽にご相談ください。