飼料業界の課題と取組のご紹介
当社製造するクラフト重袋は、飼料の包材として輸送に使われることが多くあります。
今回のコラムでは、飼料業界の現状と課題について取り上げたいと思います。
今月農林水産省から最新版の「飼料をめぐる情勢」資料が公表されました。
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/attach/pdf/index-568.pdf
この資料によると、日本国内における飼料の需要量に対する令和2年度の純国産自給率は約25%だそうです。この自給率は、30年以上ほとんど変わらずに推移しております。ニュースなどでもよく取り上げられる食料自給率(令和2年のカロリーベース総合食料自給率は37%)にも、この飼料の自給率が反映されており、重要な要素の一つになっています。(輸入飼料によって育てられた家畜は自給率に反映されない)。
飼料は栄養価による分類で粗飼料と濃厚飼料に分けられます。
粗飼料 (全体の約20%) |
牧草の生草やサイレージ、わら類等、繊維が多いもので、主に牛の飼育に使われている。 |
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濃厚飼料 (全体の約80%) |
トウモロコシや麦、大豆等、炭水化物やたんぱく質が多いもので、様々な家畜の飼育に使われている。粗飼料自給率が76%と比較的高いのに対して、濃厚飼料の自給率は12%と低くなっています。 |
昨今、スーパーに行く度に様々な食品の価格が上がっているのを感じますが、これには、飼料価格の高騰も影響しています。私たちが全体の4分の3を輸入に頼る飼料は、コロナウィルス感染症の影響による需給の大きな変動やロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受けていること、また、急激な円安が進んだことから価格が高騰しております。
当社の製造するクラフト袋も利用される配合飼料の価格は、1年前に比べて約30%上昇しており、まだ上昇が続きそうです。主に海外情勢の影響を受けてどんどん食品の価格が上がっていくのを見ると、生きていく上で必要な食料自給率の大切さを改めて感じます。
国が2010年に掲げた飼料自給率の2020年目標38%が達成されることはありませんでしたが、自給率向上に向けて以下のような取組がされていることをご紹介します。
【 エコフィード 】
エコフィードは、環境(ECO)と飼料(FEED)をかけた造語で、食品残さ等を利用して製造された飼料のことを言います。主に食品製造業者から出る食品廃棄物を再生利用して作られています。
現状、食品製造業から発生する年間食品廃棄物約1400万トンの8割近くが再生利用されており、その8割が飼料化されているそうです。これは、高い割合という印象を受けます。逆に、食品小売業から発生する約120万トンの内再生利用されるのは37%、外食産業から発生する190万トンでは19%と低くなっています。
当社のお客様でも食品廃棄物を使った配合飼料を製造している会社がございますが、現在濃厚飼料全体の約5%相当のエコフィードが製造されているそうです。
【 飼料用米 】
飼料用に作られた水田で採れるお米ですが、玄米の状態で利用され、トウモロコシと比べてもほぼ同じ栄養価が取れるため、優れた家畜用飼料になります。
本来であれば、輸入したトウモロコシの方が価格が安いことから飼料メーカーが購入しない、また、人間の主食用の米を作った方が高く売れるために農家も生産しないということになりますが、食料自給率の向上や水田の有効活用などの観点から国がこのギャップの穴埋めするための助成金を出して飼料用米の生産者数増加に向けて取組んでおります。
今後も国が力を入れていく発表をしておりますし、令和3年度はコロナの影響で大きく落ち込んだ外食産業向けの米需要を調整することもあって、飼料用米の作付面積は11.5万haと前年の1.6倍となったそうです。
山口包装工業では、配合飼料や飼料用米といった飼料の輸送に使われる様々な包装資材を取り扱っております。新たに袋を作りたい、包装形態に課題を抱えておられる方は是非ご相談ください。