業務用紙袋の製造に不可欠な素材クラフト紙
当社の製造する重包装用紙袋は、クラフト紙を何層か重ねて製造を行っております。
クラフト紙の製造工程は、ものすごく大まかに説明すると以下のようになります
1.木材チップを蒸解(薬剤を入れて蒸すことで分解)、洗浄・脱水してパルプを抽出する
2.繊維を絡みやすくするために、水と混ぜたパルプを叩いて解す(叩解工程)
3.網の上にパルプ原料を乗せてろ過、プレス、乾燥(抄紙工程)し、紙を製造
原料として使用する木材チップは、針葉樹(松や杉)と広葉樹(ユーカリ、ブナ等)に分けられますが、重包装用のクラフト紙に使われるのは、針葉樹です。針葉樹は、広葉樹に比べて繊維が長く(2-4.5mm)、強度の高い紙を作ることができるからです。
クラフト紙のクラフト(KRAFT)はドイツ語で強靭という意味を持ちます。その名の表す通り、クラフトパルプを主原料とした強靭な包装用紙です。クラフト紙には以下のような特徴があります
・破袋強度が高いこと
・ミシン縫いをした際にミシン目から裂けがないような引裂強さを持つこと
・適度の剛度(コシ)があること
・良好な貼合性を得るために、吸水速度が適度であること
紙の強度や品質を測る基準には、様々なものがありますが、JIS規格としてクラフト紙の基準も定められています。(以下が、主に使用されているクラフト紙1種のJIS規格になります)
クラフト紙Ⅰ種のJIS規格(JIS P 3401)
種類 ※ |
坪量 (g/㎡) |
引張強さ(KN/m) |
伸び(%) |
引裂強さ(mN) |
サイズ度 (秒)※ |
|||
縦 |
横 |
縦 |
横 |
縦 |
横 |
|||
MS-75 |
75 g/㎡ |
4.5以上 |
2.2以上 |
2.0以上 |
4.0以上 |
760以上 |
810以上 |
10以上 |
MS-78 |
78g/㎡ |
4.6以上 |
2.3以上 |
2.1以上 |
4.2以上 |
810以上 |
860以上 |
10以上 |
MS-81 |
81g/㎡ |
4.8以上 |
2.4以上 |
2.2以上 |
4.5以上 |
860以上 |
910以上 |
15以上 |
MS-84 |
84g/㎡ |
4.9以上 |
2.5以上 |
2.3以上 |
4.7以上 |
910以上 |
960以上 |
15以上 |
・MSは Multiwall Sack Paper(重包装紙)の略
・サイズ度:水溶液の浸透性
JIS規格で定められているもの以外にも以下のような品質の基準があります。
・地 合 : 紙の中のパルプ繊維の分散状態を測る基準(分散具合が良いものが地合の良い紙)
・水 分(%): 紙の水分率。水分の変化が、紙の寸法やカールに影響します
・平滑度(秒): 紙表面の滑らかさを表す尺度。平滑度の低すぎると印刷時のインクののりが悪くなる
・透気度(秒): 紙の通気性を表す尺度。坪量が高く、密度の高いほど透気度が高くなる
当社では、使用するクラフト紙の品質を管理するために、定期的に製紙メーカー様より品質を記載した試験表をいただいております。また、製造時に使用したクラフト紙のロット番号を記録することで、紙袋の品質に異常があった際には、原紙の製造時に異常が無かったかを追跡することが可能です。
このようなクラフト紙を素材として樹脂用、化学薬品用、食品原料用、建材用など他業種にご使用いただく紙袋を各種製造しております。
また、クラフト紙とは別の素材と組み合わせて製造する紙袋も多数ございますのでご興味ある方はこちらもどうぞご覧ください。
・様々の用途に使われるポリ袋(内袋)入りクラフト袋
・クラフト袋で防湿性、バリア性、密封性に対応機能性を付加する各種内袋のご紹介
・大型クラフト袋とアルミ包装の合わせ技
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